孤児院セント・クラウズで育ったホーマーは、二度も養子先から戻されて、医師のラーチに息子のように育てられた。
ラーチはこの時代に禁止されていた堕胎手術を行っており、望まない子供を身ごもってしまった女性を助けていた。
1943年。
21歳になったホーマーは、ラーチの指導により、産婦人科医として働ける技術を習得していた。
ラーチは自分の跡を継いでくれると思っていたが、ホーマーは堕胎には反対だった。
ホーマーは自分の進むべき道を見つめなおすために孤児院を出る。
サイダーハウス・ルール(1999) アメリカ
THE CIDRE HOUSE RULES [126分]
管理人評価
★★★★★
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ドラマ/ロマンス | |
ラッセ・ハルストレム | |
ジョン・アーヴィング | |
トビー・マグワイア (ホーマー・ウェルス) シャーリズ・セロン (キャンディ・ケンドール) マイケル・ケイン (ウィルバー・ラーチ) ポール・ラッド (ウォリー・ワージントン) デルロイ・リンドー (ミスター・ローズ) エリカ・バドゥ (ローズ・ローズ) キーラン・カルキン (バスター) パズ・デ・ラ・ハータ (メアリー・アグネス) キャシー・ベイカー (看護婦のアンジェラ) ジェーン・アレクサンダー (看護婦のエドナ) |
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第72回アカデミー賞 1999年 助演女優賞:マイケル・ケイン 脚色賞:ジョン・アーヴィング |
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そして僕は歩きはじめる | |
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ホーマーの自分探しの旅を通して、自分も成長したような錯覚を味わったのです。
何だか自信が持てたような気がして、すごく誇らしいんです。
それがあの心地よさだったという訳です。
始めは孤児院の子供たちの生活が描かれています。
愛に飢えている子供たちは、常に愛を欲し、自分が愛されることを夢見ている。
そんな姿を見ていると切なくなってきます。
人間には愛情が絶対に必要なんだと、改めて思い知らされます。
そして、厳しい現実と戦っているラーチと、それに反発するホーマーの対比です。
法を犯しても苦しむ患者に救いの手を差し伸べるラーチ、理想を持ち堕胎に踏み込めないホーマー。
彼は孤児院の生活の中で、つらい現実を目の当たりにしながら生きてきました。
だけど、それでも人間に期待し理想を持ち続けた。
外には違う世界があるんだ、自分が役に立てることがある、そこに救いを求めていたのかもしれません。
そして、自分の道を切り開くために、孤児院を出る決心をします。
世間知らずのホーマーは、海を見るのも初めて。
外の世界の全てが初めてで、真っ白な心の彼は今まで味わったことのない体験を全て吸収し成長していきます。
頭が良くて、手先も器用なホーマーは、仕事も上手にこなし皆からも好かれます。
出会う人、皆が彼に優しかったですよね。
これも彼の人徳でしょう。
そんなホーマーを演じたトビー・マグワイヤ。
彼の人懐っこい笑顔が、ホーマーという役にぴったりでしたね。
純粋で真っ白な心の持ち主。
そんな雰囲気が体中からかもし出されていました。
しかし、自分が何をすべきかと見つけてから、がらっと表情が変わります。
自分の仕事を完璧に理解し、行動する彼は頼もしく神々しかったです。
また、キャンディを演じたシャーリズ・セロンの美しいこと!
彼女の透き通るような白い肌は、女の私から見ても美しくて見惚れてしまいます。
フィアンセが出征した寂しさをホーマーで埋めようとしたキャンディ。
初めての恋に夢中になるホーマー。
2人が無邪気にはしゃいでいるときは、すごく微笑ましかったのですが、体の関係になってからは少し切なく感じてしまいました。
かなり重いテーマを扱っていながら、それを感じさせないくらい終始優しく爽やかに描がかれています。
そして、最後に心地の良い余韻を持たせる。
さすがラッセ・ハルストレム監督です。
大好きな監督の作品の中でも、これが一番好きな作品です。
ラーチがおやすみの挨拶として言っていた
「メーンの王子、ニュー・イングランドの王」
という愛のこもった言葉が耳に残っています。